店舗デザインとは?目的・流れ・費用・依頼先の選び方などを解説!
店舗デザインは集客力・顧客満足度・ブランド力を左右する重要な要素です。開店後の売上にも影響を及ぼすため、店舗の開業・リニューアルの際は店舗デザインにも注力することが大切です。
店舗デザインは、店舗の開業やリニューアルにおいて非常に重要な要素になります。しかし、そもそも店舗デザインとはどのようなものなのか分かっていない方も少なくないでしょう。店舗デザインは集客力や顧客満足度などに大きな影響を及ぼす要素となるのですが、ここでは店舗デザイン目的や流れから費用、依頼先の選び方まで詳しく解説していきます。
そもそも店舗デザインとは?
店舗デザインとは、店舗の外装や内装のレイアウトやサイズなどを図面に起こしながら、使用するインテリアや配色までを細かく決めていく作業を指します。一般的には店舗設計と同じ意味で使われていますが、店舗デザインにはマーケティングの観点も求められます。
店舗デザインでは、集客力やブランド力などの向上を図るために、店舗のコンセプトを明確にした上で集客方法やブランディング戦略も含めて店舗経営を計画していくことが必要です。店舗デザインは開業・リニューアル後の売上に大きな影響を及ぼすため、開店前の重要な作業と言えます。
店舗デザインの歴史について

店舗デザインは、19世紀後半に西洋で誕生したデザインの概念がベースとなっています。19世紀後半にイギリスで起こった産業革命は、あらゆる製品の大量生産を可能にしましたが、一方で多くの職人が職を失いました。加えて、その当時の大量生産品は粗悪なものが多かったのですが、このような状況に異を唱えたのがウィリアム・モリスです。
ウィリアム・モリスは中世芸術への回帰を目指すアーツ・アンド・クラフツ運動の主導者で、店舗デザインの原型となる空間デザインという概念を生み出しました。そして、彼が生み出した空間デザインの重要性が世界中に浸透していき、職人の技術力と大量生産を融合させた現代デザインの基礎が確立されました。また、日本においては1960年代後半から西洋のデザインを参考にしつつ日本独自のデザインが模索され、日本の伝統や風習も加味した店舗デザインが浸透していったとされています。
店舗デザインの目的
集客力の向上
店舗デザインにはいくつかの目的がありますが、まず挙げられるのは集客力の向上です。SNSが浸透した現代社会では、お客様が店内で撮影した写真や動画がSNSに投稿されることが珍しくありません。飲食店であれば料理の味や価格だけでなく、いわゆる写真映えがお店選びの重要な要素となっています。
お客様がSNS上に投稿した画像や動画の宣伝効果は非常に大きなものなので、誰もが思わず行きたくなるような店舗をデザインすることが重要です。 一方で、写真映えを意識しすぎるあまり、店舗のコンセプトに合わないデザインにしてしまうと持続的な集客は期待できません。一過性の流行で終わってしまう恐れが高いため、店舗デザインではあくまで自店のコンセプトに沿った独自性のあるデザインを心がけることが大切です。
顧客満足度の向上
店舗デザインでは、お客様が快適に過ごせる空間を作り出すことで顧客満足度の向上を図ることができます。例えば、美容室やエステサロンなどでは、サービスを受ける様子が周りからはっきりと見えない空間が好まれます。そのため、お客様のプライバシーを重視して、パーティションやすりガラスなどを採用すると顧客満足度を向上させることが可能です。
また、飲食店であれば狭いと感じさせない空間作り、食欲を増進させる照明、少人数から大人数まで対応できる柔軟性などを意識すると良いでしょう。顧客満足度の向上は客単価やリピート率の向上にもつながるので、お客様が来店する目的やニーズを踏まえて快適に過ごせる空間を作っていくことが大切です。
ブランド力の向上
店舗のブランド力を向上させることは、競合店に打ち勝っていくために必要な要素のひとつとなります。ブランド力とは、他の類似商品やサービスにはない付加価値によってお客様を引き付ける力のことを指しますが、ブランド力が向上すれば多くの固定客を獲得することができます。
店舗のブランド力向上には様々な手法がありますが、その一つが自店のコンセプトを明確化した上で、そのコンセプトに合致した店舗をデザインすることです。そして、開店後も店舗デザインの際に明確にしたコンセプトを一貫して守っていくことが、競合店との競争に打ち勝つことにつながっていきます。
店舗デザインの流れとは?

店舗デザインは、大きく市場調査・コンセプト設計・物件探し・依頼先決定・デザイン図面作成・店舗工事・引き渡しといった流れで進められます。店舗デザインでは、まず市場調査により顧客ニーズや競合店の状況などを把握した上で自店のコンセプトを明確にすることが重要です。次に、コンセプトに合致しつつ予算や立地なども加味して物件を探します。
物件が見つかったら店舗デザインの依頼先を選定しますが、依頼先の選び方については後述します。依頼先が決まったら、店舗のコンセプトや予算、希望のデザインなどを伝えた上でデザイナーと図面を作成していきますが、理想に近い参考デザインを用意しておくとデザイナーとのイメージが共有しやすくなります。デザイン図面が完成したら工事着工となり、工事が完成したら竣工検査が実施され引き渡しとなります。
店舗デザインにかかる費用相場
店舗デザインの費用は、業種・店舗の規模・立地・テナントの状態などに左右されますが、店舗デザインの費用は「坪単価×坪数」もしくは「工事費全体の10~15%程度」のいずれかで決まるのが一般的です。店舗デザインのみを請け負っている業者の場合は前者の方法で決まることが多く、坪単価の相場は3~10万円ほどとなっています。そのため、10坪の店舗のデザインを依頼する場合は30~100万円が相場となります。
また、店舗デザインから工事までを一括で請け負っている業者の場合は、後者の方法で店舗デザインの費用が決められるケースが多いです。例えば、全体の工事費用が500万円だった場合は、店舗デザイン費用として50~75万円ほどが請求されます。
店舗デザインにかかる費用の内訳
店舗デザイン会社に支払う費用は、大きくデザイン費・外装工事費・内装工事費に分けられます。デザイン費用は基本的には上記の方法で算出されますが、店舗の業種によって費用が変わっていきます。また、対象の物件がスケルトン物件なのか居抜き物件なのかでも費用に差が出てきますが、10坪の飲食店におけるデザイン費用はスケルトン物件では30~100万円ほど、居抜き物件で20~70万円ほどが相場です。
外装工事費は看板の設置などにかかる費用、内装工事費は壁や床、水道などの各種設備の工事費を指します。10坪の飲食店の場合、スケルトン物件では外装工事費に20~30万円ほど、内装工事に300~1,200万円ほどかかり、居抜き物件では外装工事費に10~20万円ほど、内装工事費に150~600万円ほどかかるのが一般的です。
店舗デザインの依頼先は大きく3種類
店舗デザインの依頼先は、大きく設計事務所・店舗工事専門業者・工務店の3種類に分けられます。 設計事務所はデザインに特化した依頼先なので、デザイン性が高い店舗を実現できます。一方で、デザインのみにしか対応していないケースがほとんどで、工事については別の会社に依頼することになるためトータル費用が高くなる傾向があります。
店舗工事専門業者は、主に店舗の内装工事に特化した業者ですが、デザインも請け負っているケースが少なくありません。デザインから工事までを一括で依頼できる業者であれば、業者とのやり取りの手間が抑えられるとともに、工期も短縮できる可能性が高いです。 工務店は、一般住宅や店舗などの工事を得意としていますが、工事だけでなくデザインを依頼できるところもあります。設計事務所と比べるとデザイン力は劣りますが、現場での技術力や対応力に優れるのが強みです。
店舗デザイン会社の選び方
店舗デザインの依頼先を選定する際は、まず自店舗の業種や希望のテイストを得意としているか確認しましょう。店舗デザイン会社にはそれぞれ得意・不得意な分野があるため、Webサイトなどに掲載されている実績から得意とする業種やテイストを確認しておくことが大切です。自店舗の業種や希望のテイストと店舗デザイン会社の得意分野がマッチしていれば、理想のデザインを実現できるとともに、スムーズに打ち合わせが進む可能性が高まります。
また、店舗デザインにかかる費用は依頼先によって変わってくるので、相見積もりを取って各社を比較することも大切です。ただし、価格の安さだけを重視すると理想の店舗デザインが実現できない恐れがあるので、価格だけでなく提案内容などを含めて総合的に判断しましょう。なお、店舗デザインに要する手間や時間を少しでも削減したい場合は、デザインから工事までを一括で依頼できる会社を選ぶことをおすすめします。
まとめ

店舗デザインは集客力や顧客満足度、ブランド力に大きな影響を及ぼす要素となるので、自店舗のコンセプトを明確にした上で綿密に計画していくことが大切です。また、店舗デザイン会社によって費用や得意とする分野などに違いがあるので、今回解説した内容を参考にして予算内で理想のデザインを実現できる依頼先を選定しましょう。